セカンドデビュー【完】
本題を切り出してきた松本に、タオルを渡す。



湯船のふちに腰掛けて、外を眺める。
木々の緑が湯に映りこんでいる。


近くを流れる多摩川の清流の水音だけが聞こえる。




警察は水原アヤを疑っている。
母は、親友に殺されたんだろうか。

わからない。
疑いたくない。



「……オレは、アヤさんが犯人だなんて思えないんだ」
「……橘」
「あの人が殺したなんて思えないんだ」

松本が何か言おうとしたとき、露天風呂に他の客がやってきた。
タイミングを失い、仕方なく風呂を出た。
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