セカンドデビュー【完】
「女優さんがどんな学生を探してるんですかって。オレが良かったら使ってみませんかって売り込んでみた。事務でもマネージャーでもなんでもやりますよって」
「ふーん。そしたら?」
「……笑ってくれたんだ」
「……」
「この人を放っておけないと思った」

好きとかじゃない。
そんなんじゃない。

「お姫様と出会ってしまった騎士みんな気分とでもいいえばいいのかな。今でも覚えてる、彼女が微笑んでくれたこと」

思い出すだけで心がぽっと温かくなる。

「生きてて良かったって初めて思えたんだ」
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