セカンドデビュー【完】
考えておく、と言って、松本は飲み物を買いに駐車場へ戻っていった。
平日の昼間、世間の人たちは学校や会社にいる時間。
鳥のさえずりだけが聞こえる。
帰ろう、と松本がコーヒーを買って戻ってきた。
周遊道路を走りながら、人工湖とは思えないほど広い湖面を見つめる。
山の中は対向車もほとんどいない。
しばらく走って、急に松本は車を止めた。
「……ガソリンやばい」
「えっ!」
ナビで近くを検索しても、ガソリンスタンドどころかコンビニも見当たらない。
もう少し先に旅館がある。
ここまで行ってみよう、と慎重に車を走らせる。