セカンドデビュー【完】
夕食は囲炉裏端に運ばれてきた。
やまめの塩焼きやお造り、山菜の天ぷらが並ぶ。ほかには刺身コンニャクやわさび漬。

「こういうのも珍しくていいな」
「ああ」

いのししの味噌鍋が煮えるのを待つ間に、「飲めよ」とビールを注がれる。

人の払いだと思えば悪い気はしない。
本当なら琴音と来たいところだけど、あの子は山里の風情みたいなものには興味がないかもしれない。
出世欲の塊みたいなところがあるから。

寒くなったら琴音にすき焼きを作ってあげよう。

それまでに、事件が解決しているといい。
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