セカンドデビュー【完】
『滅びの街レベル7』

……オレも受けた。
母さんとアヤさんも同じ作品を受けていたのか?

この映画の監督は誰だっただろう。
別のページを探したら、連絡先が見つかった。

急いで身支度をして連絡を入れ、事務所を訪ねた。

映画監督の坂本は、幸い、オレのことを覚えてくれていた。



「お久しぶりです、突然お邪魔して申し訳ございません」
「以前、オーディションに来た子だよね。電話の声ですぐわかったよ」
「はい。そのことで伺ったんです」

文句を言いに来たの? と笑う。
出されたコーヒーを横に押しやって、スケジュール帳を見せた。

「『滅びの街』に、母と、水原アヤが、同じ日にオーディション受けてますよね。そのことを覚えていらっしゃいますか」
「ああ、もちろん」
「受かったのはどちらでしたか?」
「……何故、いまさらそんなことを?」
「正直に言いましょう、私は母を殺した犯人を捜しています。もし水原アヤに動機があるならと思ってここに来ました」
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