セカンドデビュー【完】
「……あんな良い人は、世界のどこにもいない」

坂本は涙を拭うと、姿勢を正した。

「ただ、目立つ上に「主役がいい」と平気で言うようなところがあったから、仕事を奪われた女優なんかは確かにいたかもしれない。自分をアピールあるのがとにかくうまかったから、意見を言っても当然のように通ってしまうんだ。お姫様っているんだと、初めて思ったよ」
「恨みを買っているような様子はありましたか?」
「恨み……、そういうレベルじゃないんだ。自分をしっかり持ってる人って、「何を言ってもムダ」みたいな空気になる時があるだろう?」
「はい」
「我が道を行く人をみていて、何も言えなくなったよ。諦めに近かったんじゃないかな、まわりの女優さんたちはそう思ってたんじゃないかな」
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