セカンドデビュー【完】
東京ドームでコンサートする。
そんな朝も、こんな朝に違いない。

一人では広過ぎる家で、オレ、橘倖太は7時きっかりに起床して、味噌汁を作り始めた。

目玉焼きを焼いて、牛乳をコップに注ぐ。
ご飯をよそって、箸は一膳。

今日は11時から面接がある。

ユウウツな気分とはウラハラに、鏡に映る笑顔は、いつも通り、にこやかでサワヤカ。
自分で言うのはなんだが、事実なんだから仕方ない。


「顔はそんなに悪くないと思うんだけどなー……?」


世間ではナルシストと言われるんだろうけど、たいてい、人は自分がイチバンだと思っている。



言わないだけ。



ねえ、そうじゃない。違う?

< 4 / 592 >

この作品をシェア

pagetop