セカンドデビュー【完】
僕は連絡を取り、蒲田署へ向かった。
鏡原という刑事が待っていてくれた。

どういったご用件ですか、お茶を出される。
事件と直接関係あるかはわからないんですけど、と前置きする。
DNA鑑定というのは誰でもできるのかと聞いてみる。

「あの……。母と、倖太なんですけど」
「うん」
「僕の母は水原アヤといいます」

「よく知っています。もともとファンなもので」
「先日、母とケンカしたいんです。倖太のことで」
「うん」
「その時、倖太のことを『失敗作』だと」
「……うん?」

「自分の相方の息子に対して、失敗作なんていうでしょうか」
「普通は言わないと思うよ」

心の底で何度も否定しようとした疑問を、僕は初めて口にした。
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