セカンドデビュー【完】
「もしかしたら、倖太は母の息子なんじゃないかと」
「……どうして、思う?」

「昔の映像を、動画サイトで見ました。どことなく似てるんです」

ふんわりしたオレンジ色の髪。
奥二重の優しい目元。

「髪の色とか目の形とか。気のせいだと思いたいんですけど。倖太が犯人探しの番組に出てから、うちはおかしくなりました。僕は母を疑っています」
「似ているかどうかなんて、あくまで君の主観だよね。それだけでDNAを調べることはできない」
「……そうですよね」

「あくまで仮の話だけどもな。水原アヤと倖太くんが……親子だったとしてだ、美香さんを殺した証拠にはならない。ちがうかね」
「動機にはなりませんか」
「動機?」
「美香さんを独占したいからとか。母は美香さんを愛してました。友人としてではなく」

ヘンだ。
気持ちを整理しようとしているのに、自分の中でますます疑惑が深まっていく。

疑いたくないのに。
< 417 / 592 >

この作品をシェア

pagetop