セカンドデビュー【完】
隣の家が、水原アヤの実家だった。
訪ねると彼女の両親は在宅していた。

「東京の刑事さん……?」
「立花美香さんの件でお聞きしたいことがありまして」

その時、玄関先のコルクボードに貼られた家族の写真が目に入った。
一枚だけ、立花美香の写真が紛れ込んでいる。

「その写真、アヤさんと美香さんですよね」
「そうですけど」

山と鳥居を背景に、笑っている写真。
赤ん坊が映っている。

「少しだけでいいんです、協力してください」
「アヤが送ってきたんです。私たちは何も知りません」

何も話すことはない、と玄関で追い返された。

今日は無理だろう。


玉木に迎えに来させて、遅い昼食をとることにする。
< 436 / 592 >

この作品をシェア

pagetop