セカンドデビュー【完】
もうだめだ。
彼女はもう壊れてしまった。

「持ってたとしてもあんたには教えない、見つけられない!」
「どこに隠したんですか」
「あんたが生まれてきたことは失敗だった、わたしのせいね!」
「どういう意味です」
「あんたさえいなければって言ったのよ倖太」

役立たずッ!

壊れたように笑い続ける彼女を、医者と看護士たちが押さえつけた。
「水原さん! 君、もう出て!」
倖太を遠ざけようと、看護士が促す。

「……本当に……、役に立たない子ね」

母が伸ばした手は倖太には届かなかった。
がくりと力を無くし、動かなくなった。

医師たちの処置も効果がないことはわかっていた。

妹たちの叫び声が遠くに聞こえる。



ねえ倖太。
どうして君が、母さんの一番近くにいるんだ。


鏡原が、倖太を外に促す。

「ねえ」
「……」
「……君は、一体何者なの」


彼は答えなかった。


僕は初めて、人が死ぬのを見た。
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