セカンドデビュー【完】
報道陣に向かって挨拶をする父の背中をながめていた。
疑われたまま、彼女は逝ってしまった。残された僕らが世間にどう思われるか。
倖太には遠慮してもらって、顔を出さないように伝えてある。
「琴音さん、アヤさんは3年前の事件について何か言っていませんでしたか」
「何も聞いていません」
「立花美香さんの息子がマネージャーだったんですよね? 彼とは何か話しましたか」
「何も」
家族の悲しみも世間の人にはただの話のネタだ。
わかっていたはずなのに、さすがに煩わしい。
家族には何も言わずに死んだ。
親友の息子に悪態をついて。
こんな結末しかなかったのかな……。
疑われたまま、彼女は逝ってしまった。残された僕らが世間にどう思われるか。
倖太には遠慮してもらって、顔を出さないように伝えてある。
「琴音さん、アヤさんは3年前の事件について何か言っていませんでしたか」
「何も聞いていません」
「立花美香さんの息子がマネージャーだったんですよね? 彼とは何か話しましたか」
「何も」
家族の悲しみも世間の人にはただの話のネタだ。
わかっていたはずなのに、さすがに煩わしい。
家族には何も言わずに死んだ。
親友の息子に悪態をついて。
こんな結末しかなかったのかな……。