セカンドデビュー【完】
「母さんに何を言われたか解らないけど、僕は歌う気はないからね。他を当たってくれていいよ」
「なっ……!」
「契約書はまだ書いてないはずだよ」
「そういうことじゃない!」

話が違う。
これは……本当に話が違うぞ。

「母さんは僕を歌手にしたいみたいだけど、僕はそんなつもりはない。だから何人来ても断ってた。最初はみんな我慢するけど、結局全員辞めてったしね」
「……」
「自分の時間を無駄にしないで。別のとこに移った方がいい。嫌がらせでこんなことを言うんじゃないよ。僕は、本気だから」

なんなんだ。ちょっと。
こっちだって本気なんだ。

「……ちょっと待って。水原アヤと、話をつけてくる」
「どうぞ」
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