セカンドデビュー【完】
食事が終わるとケーキが運ばれてきた。
小さなバースデーケーキだ。

「10月は母さんの命日と誕生日だったんだ」
「そう」
「琴音の家も大変だったから、会いに行けなかったし。迷惑になるし」
「……今月はね」
「一人ケーキも作ったけど、さすがに寂しかったよ。お前を呼ぶこともできなかったし」
「別に呼んでくれなくても全然」
「そうだけど。母さんが生まれてなかったら、オレも生まれてないわけだろ。それだと、オレはお前に会えなかった」

いや、そうかも知れないけど。

「琴音と会えて良かった」
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