セカンドデビュー【完】

「飛行機を降りるとそこは雪国だった」
「タマテル、黙っとけ、もう」

オレは刑事二人に付き添われながら、青森空港へ降り立った。
ひどく揺れたので気分が悪い。

空港を一歩出ると、北国の強烈な冷気に、胸のムカつきは一気に治った。

青森県警に協力してもらい、パトカーが迎えにきてくれている。

空港から、弘前市内までは車で40分ほどだった。

雪が積もった街並みに懐かしさを覚える。
覚えていないけど、来たことがあるんだろうか。

車道はどっかり積もっている雪で狭くなっている。
世界全体がうっすらと雪に覆われている、そんな感じ。
肌を突き刺す風の冷たさは、思わず吸い込むのをためらうほどだ。
歩いていたら、母が前から歩いてくるんじゃないだろうか。

コートにブーツ、ポニーテールで。

幻でもいい、一目会いたい。

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