セカンドデビュー【完】
祖父の津軽の方言は、早口で聞き取るのが大変だったが、自分の知らない母の話を聞くのは楽しかった。
二人で夕食を済ませて、オレは外に散歩に出た。

雪はやんでいた。
夜になって、一度溶けた雪がまた凍り付いて、道路はツルツルになっている。
気をつけないと、転んでしまう。
積もった雪に光が反射して、心なしか明るい。夜だというのに。

オレはコンビニの近くまでくると、琴音に電話をかけた。
今日は、一日、いろいろありすぎた。
声が聞きたい。


何度かけても琴音は出なかった。

何から話していいかわからないけど。
コンビニでおでんとプリンを買って、祖父の家へ戻り、その日は母の部屋で眠った。
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