セカンドデビュー【完】
翌朝、祖父は車を出して、オレを近所の老人ホームへ連れて行った。
「お前のおばあさんだよ」
小柄な祖母は、母によく似た大きな目でオレを見てきたが、祖父のこともわからないようだった。
「美香が死んでから急に老け込んでな」
美香の息子だよと話しかけてみても、不思議そうに見返すだけだった。
スマートフォンで動画サイトを開いて、アイドルをしていた頃の母の動画を見せた。
「……」
娘の姿も忘れてしまったんだろうか。
「かわいいねえ」
「……でしょう?」
動画をじっと見ている祖母を、近くの椅子に座って見守る。
「二人とも頑固だから歩み寄ろうとしなかった」
「……」
「勝手に東京に出て行った美香も悪いんだ」
「……そうですね」
「仲直りする前に美香が死んじまってな」
「母さん、後悔していると思います」
「お前のおばあさんだよ」
小柄な祖母は、母によく似た大きな目でオレを見てきたが、祖父のこともわからないようだった。
「美香が死んでから急に老け込んでな」
美香の息子だよと話しかけてみても、不思議そうに見返すだけだった。
スマートフォンで動画サイトを開いて、アイドルをしていた頃の母の動画を見せた。
「……」
娘の姿も忘れてしまったんだろうか。
「かわいいねえ」
「……でしょう?」
動画をじっと見ている祖母を、近くの椅子に座って見守る。
「二人とも頑固だから歩み寄ろうとしなかった」
「……」
「勝手に東京に出て行った美香も悪いんだ」
「……そうですね」
「仲直りする前に美香が死んじまってな」
「母さん、後悔していると思います」