セカンドデビュー【完】
祖母にまた来るねと言って、外へ出た。
岩木山神社までは、車で30分ほどの移動だった。
どこからが畑でどこからが山なのかわからないほどの雪景色。
道もりんご畑もすべてが雪で覆われている。車に乗っているのにブーツの足先が冷えてくる。

岩木山神社に着くと、写真で見た、白い鳥居があった。

雪の石段をゆっくりと上がる。
朱に塗られた壮麗な社殿が現れた。
「初詣はみんなここに来る」
「母さんも来たことあります?」
「もちろんだ。家族で初詣に行ってた」

手水舎はふつうの広さではななかった。
子供用のブールぐらいはありそうな広さだ。
岩木山の湧き水が出る口は三つあり、ふたつは龍のデザインになっている。

1メートル近くある柄杓で口や手を清めるのだが、水が入ると結構重い。
冬の湧き水は美味しかった。

手と口を清めて、さらに奥へ進む。
狛犬がなぜか、逆さに設置されている。

美しい拝殿で、参拝をすませた。


犯人が捕まりますように。
琴音が主役を取れますように。


目を閉じると琴音の笑顔が浮かんで嬉しくなった。
いつか、ここに連れてきてあげよう。

母さんたちのふるさとへ。
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