セカンドデビュー【完】
僕は君を。
僕たちが愛し合うのは許されない。
嘘をつき通すことはできない。
「琴音。2人で逃げる?」
倖太が微笑んだ。
「名前も仕事も捨てて。どこか遠くに」
「……」
「2世タレントが消えたって世間は誰も騒がない。そういう生き方もあるよ」
「嫌だ!」
「そういうと思った。お前は仕事好きだもんな」
わかってるよ、と倖太は僕の頭をぽんぽんと叩いた。
「お前は役者としてやっていきたいんだよな。逃げたりしないよ」
「……僕は……」
彼に何もかもぶちまけてしまいたい自分と、このままで終わりたくないと叫ぶもう一人の自分がいる。
「なんでこんなに好きなのに、離れて暮らさないといけないの」
「都内だろ」
「そうだけど」
「事件が解決したら問題ない」
「解決しなかったら」
「そんなこと、考えなくていいよ」
倖太は犯人を見つけられると信じている。
「オレはね琴音。お前の負けず嫌いなところも野心家のところも、結構自信がないところも全部好きだよ」
「知ってる」
「お前と会うまで、オレは自分が可哀想だと思ってた」
「……」
「もう少し頑張れる。お前がいれば。だから今は少し離れてても大丈夫だから」
「倖太は、僕を見捨てたりしないよね」
「見捨てたりしないよ。どうして?」
「なんでもない」
僕はまた本当のことを言うタイミングを逃した。
倖太を好きでいることに変わりは無いのに、僕は何も言えずにいた。
僕たちが愛し合うのは許されない。
嘘をつき通すことはできない。
「琴音。2人で逃げる?」
倖太が微笑んだ。
「名前も仕事も捨てて。どこか遠くに」
「……」
「2世タレントが消えたって世間は誰も騒がない。そういう生き方もあるよ」
「嫌だ!」
「そういうと思った。お前は仕事好きだもんな」
わかってるよ、と倖太は僕の頭をぽんぽんと叩いた。
「お前は役者としてやっていきたいんだよな。逃げたりしないよ」
「……僕は……」
彼に何もかもぶちまけてしまいたい自分と、このままで終わりたくないと叫ぶもう一人の自分がいる。
「なんでこんなに好きなのに、離れて暮らさないといけないの」
「都内だろ」
「そうだけど」
「事件が解決したら問題ない」
「解決しなかったら」
「そんなこと、考えなくていいよ」
倖太は犯人を見つけられると信じている。
「オレはね琴音。お前の負けず嫌いなところも野心家のところも、結構自信がないところも全部好きだよ」
「知ってる」
「お前と会うまで、オレは自分が可哀想だと思ってた」
「……」
「もう少し頑張れる。お前がいれば。だから今は少し離れてても大丈夫だから」
「倖太は、僕を見捨てたりしないよね」
「見捨てたりしないよ。どうして?」
「なんでもない」
僕はまた本当のことを言うタイミングを逃した。
倖太を好きでいることに変わりは無いのに、僕は何も言えずにいた。