セカンドデビュー【完】
倖太の家に鏡原と玉木が訪ねてきた。
ちょうど君を探していたんですよ、前置きして、写真を見せられた。

「以前、お母さんが乗られていた車はどうしました」
「盗まれたんです。盗難届は町田署に出してあるはずです」
「そうですか。この車で間違いありませんか」

写真を見せられる。母が乗っていたグリーンの車体。

「はい。高い車だったので母がとても悔しがってました」
「なるほど。それではもう一台なんですが、白いワゴン車をお持ちでしたね」
「……はい。ぶつけたかどうかして、廃車にしたと思いますけど」

どうだろう。自信がない。

「それは3年ほど前でしたか?」
「……はい。母が撮影の時なんかに使ってましたから。僕たちはたまに学校まで乗せてってもらう程度で、ほとんど乗っていませんでしたから」

倖太がお茶とケーキを用意して、鏡原たちを招き入れた。
クリスマスケーキの余りだが、二人は遠慮しないで食べた。

「琴音くんは冬休みの間この家に?」
「はい。正月は倖太の家にいるつもりです」
「お父さんと妹さんたちは」
「親戚の家に行っています。それが何か」
「琴音。止めなさい」

お茶のおかわりはいりますか? と倖太は笑い、二人は帰っていった。
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