セカンドデビュー【完】
あの刑事二人は、僕たち家族の居場所を把握したがっていた。
父が姿を消したのを、悟られはしないだろうか。
「……ことね、琴音? 腹痛いの?」
ふいに倖太の手が頬に触れた。
「さっきからずっと黙ってるから」
「そんなことないよ。ちょっと眠くなっただけ」
「そう。オレ墓参り行って来るから留守番してて」
「僕も行くよ」
「一人で行きたいんだ」
そういわれると、留守番をするしかなかった。
倖太が出かけてから、彼の家を少し探検することにした。
仏壇には綺麗に花が生けられ、おせちも供えられている。
綺麗な美香さんの写真。
子役だったころ、励ましてくれた彼女。
仏間を出て、そっと倖太の部屋に入る。
電子ピアノとギターが、部屋のインテリアになっている。
カラーボックスには、大量の楽譜が片付けられている。
……手書きだ。
全部、彼が書いたんだろう。
机の上にはノートパソコンがある。
盗み見はいけない。
その横に、小さい倖太と美香が写った写真が飾られている。
無邪気で天使そのもののような笑顔をして倖太はピースをしている。小学生の頃だろう。
この笑顔を、母さんが……奪ってしまった。
実際には、水原アヤは、僕の母親ではなかったとしても。
どうか許してくださいと何度も謝った。
父が姿を消したのを、悟られはしないだろうか。
「……ことね、琴音? 腹痛いの?」
ふいに倖太の手が頬に触れた。
「さっきからずっと黙ってるから」
「そんなことないよ。ちょっと眠くなっただけ」
「そう。オレ墓参り行って来るから留守番してて」
「僕も行くよ」
「一人で行きたいんだ」
そういわれると、留守番をするしかなかった。
倖太が出かけてから、彼の家を少し探検することにした。
仏壇には綺麗に花が生けられ、おせちも供えられている。
綺麗な美香さんの写真。
子役だったころ、励ましてくれた彼女。
仏間を出て、そっと倖太の部屋に入る。
電子ピアノとギターが、部屋のインテリアになっている。
カラーボックスには、大量の楽譜が片付けられている。
……手書きだ。
全部、彼が書いたんだろう。
机の上にはノートパソコンがある。
盗み見はいけない。
その横に、小さい倖太と美香が写った写真が飾られている。
無邪気で天使そのもののような笑顔をして倖太はピースをしている。小学生の頃だろう。
この笑顔を、母さんが……奪ってしまった。
実際には、水原アヤは、僕の母親ではなかったとしても。
どうか許してくださいと何度も謝った。