セカンドデビュー【完】
その時、ふいに川原の景色が浮かんだ。
冷たくなった母さんが、見つかった場所。
オレは呆然として、川の向こうを見つめていた。

覚えている、灰色の水の流れと秋の空。
横たわる灰色になった死体。


彼女がいるべき場所は、こんなところじゃなかったはず。
生きていれば、もっと、別の景色が見れたはずなのに。

オレは?
オレは……この話を蹴って、またバイトを探すの?
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