セカンドデビュー【完】
中野のマンションに出向くと、父は元気そうにしていた。
刑事が二人もいるので、長い間続いている愛人は気を遣って外へ出て行った。
「母さんの……、青森の友達が教えてくれた。水原琴音は母さんの子供なんだって」
「……聞いたのか」
「どうして黙っていたの」
「母さんの意思だったからだ。もうお前がいた」
父親がわからない子供を育てる義理もなかった。
「おろせないなら養子に出してくれと言ったよ。水原アヤが引き取ってくれて助かった。だから言わなかったし、アヤさんの好意を無にする必要は無かったしな。……それに、母さんの死に、お前は無関係だ」
そうでしょうか、と玉木が口を挟んだ。
「立花さん、美香さんがなくなる前にお会いしましたか」
「ええ」
「えっ、そんなこと言わなかったよね」
「離婚しようと言われた」
「……」
「お前が悲しむだろうと思って言い出せなかった。葬式もあったしな。だけど、もう夫婦としては完全に終わっていたんだ。話し合って判も押して、離婚届は彼女に渡した」
「……立花さん、離婚届を渡したのは本当ですか」
「はい」
「提出してあるなら、母さんはオレに話したと思う」
「調べよう」
刑事が二人もいるので、長い間続いている愛人は気を遣って外へ出て行った。
「母さんの……、青森の友達が教えてくれた。水原琴音は母さんの子供なんだって」
「……聞いたのか」
「どうして黙っていたの」
「母さんの意思だったからだ。もうお前がいた」
父親がわからない子供を育てる義理もなかった。
「おろせないなら養子に出してくれと言ったよ。水原アヤが引き取ってくれて助かった。だから言わなかったし、アヤさんの好意を無にする必要は無かったしな。……それに、母さんの死に、お前は無関係だ」
そうでしょうか、と玉木が口を挟んだ。
「立花さん、美香さんがなくなる前にお会いしましたか」
「ええ」
「えっ、そんなこと言わなかったよね」
「離婚しようと言われた」
「……」
「お前が悲しむだろうと思って言い出せなかった。葬式もあったしな。だけど、もう夫婦としては完全に終わっていたんだ。話し合って判も押して、離婚届は彼女に渡した」
「……立花さん、離婚届を渡したのは本当ですか」
「はい」
「提出してあるなら、母さんはオレに話したと思う」
「調べよう」