セカンドデビュー【完】
「タマテル、さっき、俺が遠くに行くなら殺すとか言っただろ」
「はい」
「引き止めても無駄なら殺すつもりなのか?」
「はい」
「……はいっ、て即答すんなよ」
「だから本気なんですって。僕は、鏡原さん、あなたとずっと一緒にいたい」

玉木が鏡原の右手を両手で包み込んだ。

プロポーズみたいじゃないか。

「……」
「……イヤじゃないんですか?」
「いや、いやじゃないとかそうわけじゃない」
「どっちなんですかッ!」
「うっせぇな! 今考えてるんだっ!!」

「立花美香は離婚を決意していた。アメリカに渡る覚悟を決めていた。アヤを連れていくつもりだったとしたらどうだ?」
「……!」

別れ話ではなく、プロポーズだったのではないか?

立花美香もまた、アヤを愛していたとしたら、事件の内情は変わってくる。
例えば、アヤが家庭を捨てるつもりだったとしたら。

「倖太、タマテル、水原一雄を探すぞ」
「えっ、さっきの返事は」
「そんなもん後だ!!」

とりあえずお前は帰れ、と鏡原に言われ、今日のところは帰ることにした。



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