セカンドデビュー【完】
「美香さんは事情があって望まない妊娠をした。産むと決めたのは彼女だが……母さんが引き取った」
「意味わかんない……。どうして」
「美香さんを引き止めるためだ。引き止める理由が欲しかった」
「なんで。意味がわからない。美香さんには倖太が」

倖太と僕は、兄弟なのか?

「美香さんは渡米したがってた。倖太くんがある程度大きくなったら向こうで暮らすつもりだった」
「……」
「ずっと日本を離れる気は無かったと思うが、母さんには許せなかった」


彼女がすべてだった。
立花美香は自分で琴音を育てるつもりだったが、父親が違うということに、夫の立花優一は納得しなかった。
そこにつけこんで、アヤは琴音を引き取った。

「母さんはお前をとても可愛がってた。美香さんによく似たお前を。愛情を持って育てた」

美香を引き止めるために。

「美香さんが母親……? じゃあ、どうして……どうして殺したんだッ!」
「事故だったんだ、本当だ! 母さんが殺すはずないだろう!」
「美香さんの葬式の時に、話す機会があったはずだ」

懺悔するチャンスは何度もあったはずだ。

「葬儀の時、倖太くんに会った」
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