セカンドデビュー【完】
さっと玄関を出て、歩いて駅へ向かう。

「タマテルさん、ちょっと」
「さ、帰ろうか」
「だってまだ何も」
「いいじゃないか。松本が犯人ってことで、事件を終わらせよう。そうすれば、水原アヤは犯人にならずに済む。君の将来に傷がつかない。倖太も安心する」

これで、事件を終わらせる気?
本気?

「君は元マネージャーも、倖太くんも蹴落として、立派な俳優になればいい」
「……そういうことじゃない」
「じゃあどういうこと? 君は芸能界で生き残れる」
「違う。タマテルさん、そういうことじゃない」
「彼女は『娘は何も』って言ってた。何も知らないで、すませたいんだ。それでいいじゃない」
「違う!!」
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