セカンドデビュー【完】
DNA鑑定の結果を見ながら、俺と玉木は盛大にため息をついた。
結果を倖太に話さなければならない。

「倖太くんに本当のことを話すべきです」
「どうだろうな。警察が追求するべきは事件の真相だろう。誰が犯人かということだ」
「確かに倖太くんは事件には直接関係ありません。しかし彼の存在自体が引き金になったんです。伝えるべきです」
「倖太に罪はないだろう。これ以上の重荷を背負わせてどうする」
「真実を隠すんですか」

冷え切ったコーヒーを喉に流し込む。

「生きる者に尽くすことが大事だ。俺はそう思う」
「被害者は真実を話すことを希望していました。死者の最後の言葉を聞くのが我々の仕事でしょう」
「事実を知ってどうする。倖太が傷つくだけだ。母親を失って、これ以上あいつが悲しむのは見たくない」
「それはカガさんの勝手です。でも、どう生きるかは倖太くんの自由で
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