セカンドデビュー【完】
目を覚ますと、祖父がベッドサイドに座っていた。

ここどこ?
白い天井と消毒薬の匂い。

「良かった、気が付いたか」
「おじいさん……どうしてここに……」
「美香の墓参りをしようと思って池袋の家に行ったら、警察から連絡があった」

救急車で運ばれたらしい。
オレはまた鏡原さんたちに迷惑をかけた。

睡眠薬を飲んだところまでは覚えている。

手首が痛い。


自分で切ったのかな。
オレは生きていちゃいけない。

白い天井を見つめる。

「……実は、オレは母さんの子供じゃないんです」
「わかってた」
「え」
「子供の時にテレビで見たときから、わかってた。全然似てなかった」
「……」
「となりのアヤさんが小さい時にそっくりだったよ。親の目をごまかせるもんか」

そりゃそうだ。
そうだよね。

「薬をいっぱい飲んだんだってな」
「……」
「美香が育てたんだから、美香の子だ。東京にいるのが辛いなら、青森に帰ろう。死のうなんて思うな」
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