セカンドデビュー【完】
「僥倖って、読めなかったから辞典で調べたよ。ギョウコウって読むんだね。思いがけない幸運って意味らしい。
そんな字を、美香さんは君の名前に入れたんだ。実の子供でもないのに」

「思いがけない幸運……」

母さんはそんな風に思ってくれていたの。
迷惑だっただろうに。

「生まれてきちゃいけないなんて、美香さんは思っていなかった。自分の子供だと思って育ててた。誰より大切にして尊重していた。
実の母親じゃなくても1点の曇りもなく君を愛してた。それでいいじゃないか」


「もう彼女のためじゃなく、自分のために生きろ」

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