セカンドデビュー【完】
「このままで終わりたくない。君がくれた歌詞にあった」
「―――」
「それは僕も同じだ。倖太は僕の夢を笑わなかった。本当は何がしたいのか聞いてくれたのは君だけだった」

嬉しかったんだよと琴音はつぶやいた。



「ねえ。倖太はどうしたい? 本当は何がしたい?」





ずっとずっとさみしかった。
母親を亡くして、夢を無くして。
歌うことすら忘れかけていた。

曲を書いてくれと言われて、最後のつもりで琴音に会いに来た。
さよならを言うつもりだった。


でももう、自分に嘘はつけない。
琴音の目に映ったオレ自身が答えをせがんだ。



……さよならなんて言えない。




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