セカンドデビュー【完】
その時ノックがして「入っていいかい」と声がした。

「あっはい!」

慌てて体を離す。


「倖太くん、ピアノ弾いてくれないか? 決まってたメンバーが急病で出れなくなったんだ」
「え……」
「君が書いた曲だろ? 衣装もあるし、メイクもいるし、撮影を止めるわけにいかない」
「……」

横で琴音も驚いている。

「頼む!! 君ならできる!」

そうか。
そういうことか!

「……坂本さん、最初から、そのつもりだったんですね!」


ドアからスタッフが衣装を持ってきた。
ヘアメイクもいつの間にかそろっている。



「僕からもお願いだ! 僕も倖太のピアノで歌いたい」

もう笑うしかなかった。


夢見た形とは少し違うけど。
構わない。



ステージに立てるんだ。

「わかりました。せっかく東京ドーム借りてるんだし」
「倖太! ありがとう!」
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