セカンドデビュー【完】
「僕にも意思がある。母さんの思いつきで『歌手やれ』って言われても僕には向いてない。僕と組めると思ってきた人といちいち付き合うのも、いい加減面倒だし、僕は僕で自分を磨きたい」
「それ、ちゃんと母親に話した? 自分の気持ちを伝えたの」
「……聞いてくれる母親だと思うかい」

母さんは僕と向き合うのを避けてる。理由はわからないけど。
琴音は俯いたまま、小さく言った。

「僕は、立花美香じゃない……」
「……琴音?」
< 90 / 592 >

この作品をシェア

pagetop