吸血姫に愛の形を
部屋に入ると愛美は昼食は何にしようか考え出した。
美味しくて、短時間に作れて、お手軽な物。
うーん……
難しいなぁ…
本人にリクエストを聞いた方が早いかも。
愛美
「一騎君、何食べたい?」
一騎
「そうだな……愛美の得意料理が食べたい」
愛美
「私の得意料理…で良いの?」
一騎
「あぁ」
〝得意料理”
そのキーワードから今まで作った料理を思い出す。
幸いにも料理のレパートリーは多い方…
だと思うが、作り慣れてるものにしよう!
そう考えると…
愛美
「じゃあ、オムライスだね!」
一騎
「お手並み拝見だな」
そんな生意気な事を言うと、
ニッと悪戯っ子のように笑う彼。
愛美
「フフッお手柔らかに」
彼の挑発に乗りそうだったが、
私は彼より1つ年上なんだからと
心を落ち着かせて
優しく笑いながら料理の準備に取り掛かる。
材料あったっけ…?
冷蔵庫の中身を確認してみる。
昨日スーパーで買ってきた食材がきちんと
並べられている。
卵、玉ねぎと鶏モモ肉。
調味料は大丈夫だろうし…
よし!美味し~く作ろうっと!!
材料を出して調理を開始する。
高校の頃から料理を母に教えてもらっていた。その甲斐あって、料理の手際が良い。
彼女の後ろ姿を眺める彼。
手際の良い動きに感心しつつ、
料理なんかしないで…
自分を見て欲しい。自分と話して欲しい。
そんな、かまって欲しい気持ちも湧いてきている。
こんな自分を知ったら彼女はまた、
さっきのようにマイペースに笑っていられるだろうか?
からかってみたいが、彼女の背中からは
真剣に料理しているのが伝わってくる。
それに怪我をする危険もあるから、からかう事はしない。
早く彼女の手料理を食べたいが、
こうやって、ただ同じ空間に居るのも良いかもな…
彼は料理中にそんな事を考えていた。