復讐するはあたしにあり
二人は、同じこの大学の一年生で、僕よりも3つ年下なのだが、千秋がいかにも良家のお嬢様風の華奢(きゃしゃ)な感じの知的な感じの美人なのに対して、陽子ちゃんはいつも元気で活発な、どちらかといえば可愛らしい感じの女の子だ。

見ためも、性格も、対照的な二人だったが、それゆえかえって気が合うらしく、二人はいつも一緒につるんで遊んでいる。

そんな千秋が、頭の後ろで束ねてポニーテールにした艶やかな黒髪を風になびかせながら、僕に追いついてくると、その少しとがりぎみの小振りな唇をせわしなく動かしながら、聞いてきた。

「ねぇ、真一、どこ行くの?」

「うん・・・」

その色白で少しエラが張った丸顔に、キリッと引き締まった細い眉とやや垂れ気味の大きな二重の目が印象的な千秋の顔をチラッと見やりながら、続ける。

「ちょっと図書館にね」

「ふぅ~ん」

「卒論の締め切りが押しててさ」

「なるほどね。

じゃ、あたしも語学の予習があるからつきあおうかな」
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