復讐するはあたしにあり

｢なるほど・・・｣

僕は、思わず、苦笑いを浮かべながら、続けて聞いた。

｢で、その教授のやぼようっていったい何だったんですか？｣

｢うん、それなんだけどね｣

岡田さんも、つられて、苦笑いを浮かべながら、続ける。

｢君は古事記ってわかるかな？｣

｢えぇ、もちろんわかりますよ｣

古事記は712年に編纂された日本最古の歴史書だ。

もっとも、それは、歴史書とはいっても、神話的な色彩に色濃くいろどられていて、民俗学を専攻する僕にとっても、ひどく興味をそそられる文献だ。

｢じゃ、その中にイザナギ(国造りの神、男神)が黄泉の国を訪れる話があるのは知っているかな？｣

「えぇ、もちろん知ってますよ」