復讐するはあたしにあり
ところで・・・。

将来、民俗学の研究者をめざしている僕の卒論のテーマは"日本の古代社会における呪術的なるものに関する一考察"というものだった。

いわゆる妖怪を学問的に取り扱う唯一の学問といわれる民俗学にあってはこのようなテーマも、当然、その射程に入ってくるというわけだ。

それから、ほどなくして、ようやく、僕は、荷物を片付け終わると、席を立ち、教室の外へと出た。

振り返れば、後から後から大教室から学生達がはきだされてくる。

まるで人間の洪水だな。

ため息まじりにそんな事を思いながら、そのまま僕は校舎の出口へと向かった。
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