君色キャンバス
紺色
青いカーテンで太陽の光を遮られた、
暗い美術室。
唇を噛み締めながら、
紗波から顔を背け、扉の方へと
歩いて行く祐輝。
聞こえた、紗波の声。
「…私は二度と…笑えない」
扉を開けると、爽やかとも
蒸し暑いとも言えない風が
美術室に流れ込んだ。
その風にカーテンが揺られ、
少しだけ、隙間から太陽の光が漏れる。
祐輝は背を向けたまま、
紗波の呟きに答えた。
「…俺が久岡を、笑わせてやる」
そのまま、祐輝は美術室から出ると、
中を見ずに扉を閉めた。
綺麗な青に染まった空に、
一羽の小鳥が飛んでいた__
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