君色キャンバス
「さっき__」
「河下!もう授業を始めるぞ!席につけ!」
藤村が顔を赤らめ、小百合の話を無理矢理に遮ろうとする。
小百合が、煩わしそうに、不信の目を藤村に向けた。
「…河下、教えろよ!」
祐輝が小百合を急かした。
藤村が、小百合の方を見つめ、その動きを制すかのように目で訴えかけようとしている。
小百合は藤村と祐輝を見比べながら、三秒ほど机の前に佇むと__バッと走り出し、机の間を一目散に抜け、扉へと向かった。
「…河下…!?」
藤村やクラスメイト達が、呆気に取られている。
小百合が廊下に出た瞬間、視界のホンの隅に、光の笑った顔が見えた気がした。
__ゾク、と、嫌悪感が身体中を駆け巡るような感覚。
目の前には、祐輝。
小百合は、光の笑顔に鳥肌を立たせ、血の気を引きながら、祐輝と教室を飛び出した。
「河下!戻れ!」
藤村の声が、聞こえた。