君色キャンバス
闇色



「なんでっ…流岡がっ…教室にっ…?」



小百合が息を切らして、校舎の中を祐輝と並んで走りながら、問いかけてきた。



小百合によれば、紗波は八割の確率で美術室に居るらしく、そこに向かっている所だ。



祐輝も小百合と同様、息を切らしながらその問いに答える。



「適当にっ…校舎をっ…歩いてたら…久岡が…教室から出てくんのがっ…見えたっ、だけ!」



祐輝は、今日も授業をサボっていると、いきなり目の前の教室から飛び出した紗波を見て、心配になったらしい。



そこまで広い校舎ではないため、すぐに美術室の前につく。



「久岡!居るか!?」



祐輝が扉をドンドンと叩く。



「馬鹿、なにしてんの!」



小百合が、祐輝の扉をノックする手を、思い切り叩くと、音が止んだ。



「考えなさいよ、少しは…!」



鬼のような形相で、小百合が祐輝を睨みつける。



「…久岡!」



祐輝が歯がゆいとでもいうように、扉をなおも叩く。



もう一度紗波の名前を呼ぶ。



__不意に、何かが聞こえた気がした。



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