君色キャンバス
祐輝は、この四人__特に光__に嫌悪感と共に憤りを覚えた。
紗波に会った時とは別の意味で、顔が熱くなっていくのを感じる。
「てめえ等の方がクズじゃねえか」
「ビッ…クリした〜。ヤンキーさん、いきなり大声 出さないでよ。あっ、『悪魔』だっけ?」
光が笑みを浮かべると、他の三人もつられる様に笑った。
祐輝の茶色い瞳が、怒りに満ちた獣さながら、鋭さを増して光を睨む。
「とっとと俺の前から消えろ」
「あんたが消えりゃ良いじゃん」
真美が、見下すかのような口調で、祐輝にそう言った。
光が笑顔で祐輝を睨む。
その瞳は、祐輝に負けず、真っ黒な妖しい輝きを放っている。
光が口を開きかけた瞬間。
ギーン…ゴーン…ガーン…ゴーン…
自主勉強の時間の始まりを告げる、大きな音のチャイムが鳴った。
「…あーあ、教室に帰らなきゃ」
光が残念そうに呟くと、ヒョイと廊下の向こう側を向いた。
そして、三人と楽しく話しながら、曲がり角を曲がって消えた。
美術室前の廊下を包んでいた黒暗い空気が、サッと引いていく。