君色キャンバス
震えが大きく、なっていく。
『紗波!どうしてこんな問題ができないの!?使えない子ね!』
『何度 言ったら解るの!?鉛筆を放すなって言ってるでしょ!?』
ガンガン、と頭を金づちで叩かれているような頭痛。
震える身体を押さえきれず、痛む頭を抱え込んで、床に縮こまる。
『紗波…あなたは天才。なんだって出来る賢い子なの。紗波が賢くないと…お母さん、紗波の事 嫌いになっちゃう…』
闇色がまた、心の中で渦巻いていくのを眺める自分。
『…あなたは天才。やれば出来る。でも、賢くない紗波は、お母さんは嫌いなの。大丈夫、紗波は天才だから大好きよ』
ギュッと抱き締められた冷たい感触と温度を思い出す。
(私は…天才…じゃ…ない…)
身体の震えはさらに大きく、広がっていって、止まらない。
遠くから、シュッと足音が聞こえた。
なぜか、その瞬間__震えは止まった。