君色キャンバス
フラフラと揺れて、そこに立っていられず、床にしゃがみ込む。
目の前に、紫色の波紋が輪を描くように広がっていく。
「え、おい、久岡!?」
紗波の目に一瞬 祐輝が映ったが、ギュッと力を入れて、目をつぶる。
カナヅチで叩かれているような、激しい頭痛がする。
「…っ…!」
その時、ちょうど、美術室の扉が、
「天才ちゃん、居ますかー?」
ガンガン、と乱暴にノックされた。
耳をギュッと塞ぎ、外界から自らを乖離して、自分を守る。
(…天才じゃない…!怖い…!)
扉はガンガンとノックされ、前後に揺れていた。
耳を塞いでも聞こえる声に、紗波はジッと時間が経つのを待った。
「…てめえら」
ガラッと扉が開く音、
「いい加減にしやがれ!」
耳を塞いでも、すっと隙間から入ってきた声に、紗波は目を開いた。
__祐輝は、扉を開け、呆気にとられる四人を、その鋭い瞳で睨みつけていた。
背中に、戦慄が走ったのを感じた。