君色キャンバス



フラフラと揺れて、そこに立っていられず、床にしゃがみ込む。



目の前に、紫色の波紋が輪を描くように広がっていく。



「え、おい、久岡!?」



紗波の目に一瞬 祐輝が映ったが、ギュッと力を入れて、目をつぶる。



カナヅチで叩かれているような、激しい頭痛がする。



「…っ…!」



その時、ちょうど、美術室の扉が、



「天才ちゃん、居ますかー?」



ガンガン、と乱暴にノックされた。



耳をギュッと塞ぎ、外界から自らを乖離して、自分を守る。



(…天才じゃない…!怖い…!)



扉はガンガンとノックされ、前後に揺れていた。



耳を塞いでも聞こえる声に、紗波はジッと時間が経つのを待った。



「…てめえら」



ガラッと扉が開く音、



「いい加減にしやがれ!」



耳を塞いでも、すっと隙間から入ってきた声に、紗波は目を開いた。



__祐輝は、扉を開け、呆気にとられる四人を、その鋭い瞳で睨みつけていた。



背中に、戦慄が走ったのを感じた。



< 189 / 274 >

この作品をシェア

pagetop