君色キャンバス
紗波の方を盗み見ると、思い過ごしか、身体が__震えていた。
(…チッ、だりいな)
キッと目の前の男子達__先輩を睨みつける。
「少しは、先輩に対する敬意ってもんを叩き込んでやろうか」
男子達の目がギラギラと血走っている__リーダー格らしい男子が、楽しむように言った。
「…その女もやってやるか。そしたら、少しは大人しくなるだろ?悪魔」
無意識に、右手に、力がこもっていた。
「は?久岡は関係ねえっすよ」
「ふん、疑わしきは罰する、ってのを知らねえのか?なら…身体に叩き込んでやる」
__バッと男子数人が祐輝に飛びかかって行く。
紗波が震えるのを横目に見た祐輝が、大きく叫んだ。
「久岡!中 入ってろ!」
リーダー格の男子の腹を蹴り、金髪の男子の顔に拳を入れる。
言葉が聞こえていないのか、紗波は美術室の扉をギュッと握りしめている。
震えが酷くなって行く。
(…クソッ)
美術室前の廊下で響く声と音に、雨はかき消される__