君色キャンバス
十二月、十七日。
凍てついた空気が、開け放たれた窓から、放課後の美術室に入り込む。
窓の外に、青い空が広がっている。
キャンバスに絵を描く紗波に、テーブルの前に置かれた椅子に座って、小百合は言う。
「…最近、流岡と会ってないの?流岡って…あ、うん、不良だから…!」
説明になっていない小百合に、一言、返事を返す。
「…別に…」
小百合が苦笑を浮かべて、紗波の方に目を向けたあと、キャンバスを見た。
「あ、そうだ…絵で思い出したけど、クリスマスに、小阪先生、展覧会 開くんだって」
紗波の筆が一度 止まる。
それに小百合は気にせずに言った。
「確か場所は…隣町の大空ホール。今までタイトルを発表するだけだったのにね」
キャンバスの中で、真っ白な雪が、素朴に光っている。