君色キャンバス
「…どこで寝るんだ?」
「…ここ」
床に暗幕を引いて、紗波がその上に寝転がった。
「マジでここか…俺も巻き添えかよ。今更 家に帰られねえよ」
紗波は無表情で、天井を見ると、もう一枚の暗幕を、身体の上に掛ける。
その行動を見て、祐輝の胸がドクン、と大きく波打つのを感じた。
それは、最初 紗波に会った時に感じたあの胸の高まりによく似ている。
(え…なんだよ、俺?)
しかし、あの時と同様、その鼓動の意味は、いくら頭を捻ったところで解らなかった。
「なぁ、久岡って__」
すぅ、すぅ、と、小さな寝息が、祐輝の耳に聞こえた。
普段の冷たい雰囲気とは違う、可愛らしい寝息。
祐輝はなんとなく下腹辺りをさすると、キョロキョロと周りを見回して、パイプ椅子にもたれ、目を閉じた。
__月が、その光景を、物珍しげに覗いている。