君色キャンバス
「どうしました校長!?」
女性教師__立川先生は、突然 起きた出来事を呑み込めないようで、眉間にシワを寄せていた。
「流岡がまた授業をサボりやがったんで…」
立川先生の問いに、生活指導の教師が答える。
生徒達はポカンとして、教師同士の話に耳を傾けた。
「で、私が流岡に注意をしようとしましたら…」
「何をしたんです?」
立川先生が先を急かす。
「いきなり逃げ出しましてね、いつもの事なんで追いかけましたら…なぜかこの教室に来て、中に入ったんです」
「…そうなんですか…そう言えば」
立川先生が、何かを思い出したよう言った。
「久岡さんを呼んでました…用でもあったんでしょうかね?久岡さん…久岡さん!」
立川先生が紗波を呼んでも、返事の声が聞こえなかった。
「久岡さんっ!」
立川先生が初めて紗波の机の方を見ると、そこに紗波は__居ない。
「えっ!?久岡さんは!?」
「久岡って…あの久岡ですか!?」
生活指導の教師も慌てふためいて辺りをキョロキョロと見渡した。
紗波が居ない。
小百合はそんな教師達 四人を見て、頬杖をつき窓の外を見ながら、はぁーと深いため息をついた。
(紗波なら、さっきの騒ぎに便乗して教室から出て行ったよ…よっぽどサボりたかったのかな…?)
小百合は慌てる教師達を見ると、また、呆れたようにため息をついた。
暖かい午前だ。
紗波が行く所は八割方 決まっている。