君色キャンバス
藤色



「…はぁー…なんで流岡にあんなに興味 持ってんだろ…?」



小百合が、ベッドに座って携帯を弄りながら呟いた。



今日は土曜日のため、特にする事が無い。



小百合は勉強をしたくないため、彼氏に電話をかける。



耳に聞こえる声。



『今日って雨だよね…気分下がるよ』



小百合がチラッと窓の外を見た。



曇り空を見ていると、自分自身も陰鬱な気分になりそうだ。



『そうだね』



『うん…小百合に会いたい』



小百合が、その言葉を聞いて口を綻ばせるが、ぐっと唇を噛んだ。



しかし、それを隠せていない。



『学校で会えるじゃん!』



『だよね…退屈』



小百合がため息をついて、グッタリとベッドに横になった。



耳に携帯を当てたまま。



小百合だって、土曜日の午前中だというのに、する事は何もない。



その時、彼氏が唐突に言った言葉を聞くと、慌ててベッドに座り直した。



『今日、会える?』



頬がまた緩むのを感じる。



『え、会えるの?』



『ん、僕は会えるよ。小百合は?』



『会えるよ?』



『本当に!?じゃ、出掛けようよ!十一時に駅前集合で良い?』



小百合がベッドに携帯を放り投げ、すぐにタンスを開けた。



中から向日葵色のワンピースを出すと、身体につけてみる。



小百合の雰囲気によく合っていた。



一階に行くと、ふんわりとした女子らしい髪型にセットする。



その時に携帯が鳴ったのを、小百合は気づいていなかった。



メールの受信音だ。



『…小百合、本当にごめん。今日、僕、部活だった…本っ当にごめん!今度小百合の都合が良い時はどっか行こう!奢るからさぁ!』



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