君色キャンバス
スッ…と、その声が一気に低く、ドスの効いた声に変化するのが解った。
「お前らか?俺とこいつの彼女ナンパしてんの?ボコられてえの?」
「そーそー。俺らの彼女にナンパするとか、良い度胸だよ…な?」
ギロ、と茶色い瞳と黒い瞳がその男三人を睨みつけている。
固まったのは、ナンパ男三人だ。
「あ、あれ、彼氏さんを待ってたんですか…あ、じゃあ、自力で探し…ます」
小百合の手を放すと、男三人はそそくさと離れていった。
小百合はホッとため息をついた。
紗波はジッと、無表情で感謝をする事もせず、二人組のヤンキーを見上げている。
「…なんでここに…あんたが」
小百合が立ったまま、その二人組の片割れに言った。
そこに居たのは、流岡 祐輝ともう一人のヤンキー。
祐輝が、小百合を不機嫌に見る。
紗波がその表情を見つめていた。