君色キャンバス
空は相変わらずの灰色だ。
渋谷の町を、四人が歩いている。
一人はノートを手に何かを描きながら、一人は懸命に向日葵色のワンピースを着た少女に話しかけ、一人は絵を描く少女の隣を歩き、そのノートを覗いていた。
絵を見た祐輝が、紗波に言う。
「なんかお前の絵って、感動?できねえんだよなー」
「…あっそ」
「いや、まぁ、俺は別に久岡の描く絵で良いんだけどよ」
その反対側で、亮斗は小百合を質問攻めにしていた。
「なぁ、河下って彼氏 居る?」
「?居るのは居るよ?」
「…ふーん、居るのか…チッ」
舌打ちの意味が、小百合には理解できていない。
渋谷の町を、ヤンキー二人と、ワンピースを着た少女と、無表情で絵を描く少女が歩いていく。
曇り空のままだが、夜には雨が止んだ。