異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。



「あなたも……ディアン帝国の皇子ってこと?」

「ライベルトも本来は帝国の第三皇子で、セイレスティア王国の王位継承権を持つ身だったはずだがな」


皇子は既に隠す意思はないらしく、紅いマントを首に巻き付ける。


『20年前、終戦の際にセイレスティア王国が人質に要求したのが、ライベルトの身柄だった。表向きは帰郷の為と言いながら、実際は体のいい人質だった。
セイレスティア王国からは役に立ちやしない年寄りしか送られなかったが』

「……そんなの……誰も教えてくれなかった」

『誰だって不都合な真実は蓋をするものだ。
セイレスティア王国の第一王子と第二王子だとて、ライベルトの裏切りで戦死したのは知らないだろう』


「……!」


頭が、ガツンと殴られた様な衝撃を受けた。


何もかもが嘘で塗り固められた偽り……みんなであたしを騙してたの? そして、嘲笑っていたの?


自分の自信のなさが悪い方へ作用する。


負のスパイラルに陥ろうとしていた。


だけど……。


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